視聴直後で機能停止しそうな脳のまま率直な感想をつらつらと 【ダーク/Dark on Netflix シーズン3 感想】
心の底から大好きなドラマが終わってしまったというGoT以来のこの感情…辛い(泣)
ダークが終了し、新シーズンを待ちわびているドラマが0になってしまいました。
シーズン3自体は日曜日に見終わり、記憶が鮮明な内にとすぐさま記事に取り掛かり始め、つい先程まとめ終えた次第です。
自分なりに頭の中を整理しながら執筆しましたが、もちろん最終章はまだ一度しか見ていないので吟味した感想は書けない+矛盾、解釈違いだらけのレビューかもしれません。そのへんは温かい目でご覧ください(笑)
当然のごとくネタバレ全開なので未視聴の方はすぐさま本編を見てください!!!
オチ
いきなり本題に入ります。
全てを破壊して無にしたいアダムと、全てを繰り返したいエヴァ…どちらへ振れるのかと固唾を飲んで見ていましたが、最終的には「ループを破壊してアダムとエヴァの世界が存在しない平和な世界線を登場させる」という形で終えました。
最終シーズン開始前の海外ファンコミュニティでは「ループは永遠と続くオチが待ち受けていそう」という推測がマジョリティでした。
個人的な意見としては、無限ループオチは後味の悪さがダークっぽくてありかもと思う反面、それはそれで「結局全て同じことを繰り返すだけなのか」という進展の無さに不満を抱く事になっていたと思います。
案の定別世界マルタがシーズン2でアダムの世界に介入した時点で別世界もループの一部になりましたからね。
なのでああいったオチを用意してくれてたのは私好みでした。はい、満足です。
私としては、あのオチ+ループは一生続くという2つの違ったエンディングを同時に(画面分割するなりして)流すというマルチエンディング路線もありだったとは思いますけど(笑)
ゲームでは割と見かけますし、たまに映画とかでも実は別のエンディングを用意していた、みたいなことあるからねぇ。
ただ「本編中にで2つのエンディングを織り交ぜる」なんてことをする作品はかなり珍しいだろうし、ダークならそんな荒業をしても許されたのではないか?と。
まあでも単なる無限ループオチよりは断然良かったのでホッとしています。
ていうかこの記事で冗談交じりで言った「クラウディアの動機は娘のレジーナを助けたいだけかも」という予想がまさか当たるとは(笑)
個人的お気に入りキャラのクラウディアが大活躍だったのはなんとも誇らしい気分ですよ。
タウハウスの息子一家が事故死したという過去は前シーズンに伏線としてチラッと語られているべきだったかなとは思いますが、全ての発端が事故で亡くなった息子一家を蘇らせたいというタンハウスで、それをクラウディアがガンに苦しむレジーナを救いたいという気持ちからアダム/エヴァよりも先に抜け道を見つけて元の世界を維持…このオチ、考えれば考えるほど素敵過ぎやしませんか。
このマレク&ソニアは元の世界のマルタ&ヨナスなんじゃないか?というセオリーも最終話の一連の展開に深みが増していいですよね。
(簡単に要約すると、性格がマルタのようにアグレッシブで感情的なマレクと、ヨナスのように静かで理解力のありそうなソニア、名前にしてもMarek(マレク)がMartha(マルタ)に近かったり、Sonja(ソニア)に関しては並び替えるとJonas(ヨナス)になるというアナグラムになるのでこの4人はどこか繋がりがある、という内容)
ただあのオチで一つ理解に苦しむのは、レジーナはクラウディアとベルントの子供だったということ。なに、ベルントはあの年でクラウディアとの間にレジーナを授かっていたの?
その立場ってベルントである必要があったのかな?代わりにヘルゲとかじゃダメ?
だって仮にヘルゲ&クラウディアだったとしたら、ヘルゲの少年時代からの片思いが元の世界ではめでたく実る!という感じでアダム世界でのヘルゲがクラウディアに片思いしていた描写も伏線だったことになるし。
でもまって、もしかして、クラウディアが原子力発電所の所長になれた理由も、ベルントのあの屋敷がティーダマン家の所有物になったのも全て2人が恋人関係だったから?だとしたら伏線回収されてることになるのか…。 最終話が終わっても更に膨らむ謎(笑)
有名セオリーの結末と解明された謎
アダム=ミッケル/ミハエル セオリー
シーズン3中盤でヨナス(少年)が殺された時、一瞬「え?ヨナス(中年)/アダムは誰なの?ミハエルなんてこと有り得ちゃうの?」と焦りましたが、ちゃんとした説明がありましたね(笑)
アダムとミハエルは同じ位置に傷があるから同一人物だ…そんな単純な展開ではなかったと。よかった。
湖セオリー
例の湖セオリーが実はカタリーナだったと判明した瞬間の衝撃ときたら…。
あの展開、セオリーより断然良かったと思います。個人的にはシーズン3で一二を争うぐらい衝撃的で悲しかった。
バルトシュの幽霊話を聞いて怖がっているマルタとそれをおちょくっているマグナス、その幽霊の正体は2人の母親だったっていうのを思うと震えが止まりませんですし…。
それと些細なことですけど、ハンナがカタリーナという名の生みの親だったってのも良いですよね。
メイン4家族の関係性
当初の予想通り、やはりメインの4家族は血縁関係でした。
ただ、私は謎の多いアレクサンダーが何らかの形で絡んでいるのだろうと思っていましたが、まさかのバルトシュ。この展開には恐れ入った。
なぜノア(中年)がシーズン1からバルトシュ(少年)に目をつけていたのかも説明がつくし、シーズン2の冒頭でノア(少年)がバルトシュ(中年)を殺害したのも親子関係だったと思うと…やばい。
謎の男の重要性
あの謎の3人衆はトレーラーであれだけフューチャーされているだけあってかなり重要でしたね。
- エゴンは浮気しているかもとドリスをそそのかす→エゴン離婚の原因。
- タイムマシンの設計図をシーク・ムンドゥスの拠点から奪いエヴァに渡す。
- トリケトラの本(ウィンデンで起こる事態がまとめられた本)を書く。
- 原子力発電所が建てられる。
- 1986年の夏に原子力発電所で事故を引き起こす。
少なくとも上記あたりは謎の3人衆が引き金だったと。
ノアの「クラウディアは全てを奪った」という発言
この発言、彼は勘違いをしていた+アダムに嘘情報を与えられていたんですね~。
実際はアダムの指示でエリザベートとシャルロッテがシャルロッテ(赤ちゃん)を連れ去り、1971年のタンハウスに預けたわけで…。
ノアがアダムに対して言った「お前は私を裏切った」という発言も「シャルロッテを奪った」、「当初現実世界を救うと約束したのに破った」という2つの点で辻褄合いますし。
まぁノアは終末後に神の粒子を安定化させようとしていた時からクラウディアの行動を怪しんでいましたし、彼女が犯人だと思いこむのも無理はないか。
ヨナス(中年)は別世界マルタの存在を知らなかった
こちらでも触れた通り、ヨナス(中年)は別世界マルタが介入してくることは知っていたのか?と、シーズン2終了後から疑問に思っていました。
もしヨナス(中年)が彼女の存在を知ってたらループは永遠と続く流れになりそうだし、知らない場合は「じゃぁ若い時どうやって終末回避したの?」と。
シーズン3序盤、ヨナス(中年)が別世界マルタの存在を知らないと言った時は「ループを破壊出来るかも?」という期待感を持ったと同時に「で、肝心の回避方法は?」と脳内はクエッションマークだらけになったのです。
そして後のエピソードで明かされた事実…どうやらヨナス(中年)が終末を経験した時は自宅の地下室に逃げ込んで助かったらしいですね。
地下室あったんかい!!!!!!!www
まぁでもそのへんもちゃんと矛盾点をなくしているので素晴らしいと思います(笑)
ガッカリポイント
ここからは改善の余地があったかもしれない箇所ついても言及しておきます。
若干駆け足な展開
視聴直後の第一印象として、もう少しスローペースのほうが良かったかもと思いました。特に後半ね。
ただでさえ解釈が難しい描写も多かったのに、そんな情報が矢継ぎ早に飛んでくるので圧倒されちゃいましたし。あの情報量を考慮すると、もう少しゆったりした構成だったとしても「中だるみしてる」とはならなかったですから。
個人的に第7話のみたいな展開は大好きなんですよ。あの各キャラクターのタイムラインのギャップを埋める回ね。そういうのをシーズン3全体的にもっと差し込んでもよかったかなー。終盤に一気に詰めようとせずに。
クライマックスに向けてスピードアップするのは仕方がないとは思うんですけど、カバーしきれていない箇所もやはりでてきちゃいましたから。
未だに残る説明/答えが必要な謎
もちろん上記で挙げたように点と点が繋がり解明された謎も結構ありましたが、情報量と展開の進むスピードのバランスが若干釣り合っていなかったため、明確な説明や答えが無く未解決のままなところもまだまだあるんですよね。
①アレクサンダーの立ち位置
結局彼のバックグラウンドに関する新情報は1つも無かったので、そこまで重要ではなかったということなんでしょうか。
とすると、アレクサンダーが殺人事件に関与しているというのはただ単にあの銃をループ内に取り込むことが目的だったのかな?
シーズン2最終話を見返すと確かにヨナス(中年)は銃を腰にしまって家を立ち去っているんですよね。この銃は1888年にタイムトラベルし、どこかのタイミングでノアが奪ったのかなー。
所有者の順序としてはアレクサンダー→ハンナ→ヨナス(中年)→ノア(少年or中年)→アダム?
②謎の男達の役割
彼らの描写はもう少しあってもよかったかな。あの無感情な感じ、ループを継続させるという役目だけだったのでしょうか…。
マルタもせめて自分の子供なら名前ぐらいつけてあげて!?
③タイムマシンの年表
個人的にかなり不可解なのがこれ。
この記事でも触れたように、タンハウスは生涯でポータブルタイムマシンを1基しか作成していないはずなのです。
シーズン3で描写された情報を元に年表を再構成すると、タイムマシン完成→ヨナス(中年)→ハンナ(中年)→ノア(少年 or 中年)→バルトシュ(少年)→ヨナス(中年)→1888年で燃料不足により使えなくなる…となると思います。
だとしたらクラウディア(高年)が使用していたタイムマシンはどっからやって来たの?
クラウディア(高年)は2052年にヨナス(中年)に壊れたタイムマシンを渡し、1986年のタンハウスのもとに行くよう促しますが、クラウディア(高年)もその直後タイムマシンを使って過去を行ったり来たりするよね?そのタイムマシンの入手経路は?
タイムマシンと似たような存在でもあるトリケトラの本、それはちゃんと繋がりましたからね。
(謎の男が執筆→エヴァ世界クラウディア→アダム世界クラウディア(ここで最後のページを破る)→ペーター→エリザベート→ノア)
このタイムマシンに関してはプロットホール(plot hole)という脚本上のミスがある気がするんですよね。納得出来る説明求む。
追記:恐らくこのような流れでタンハウス製タイムマシンは移動したのでしょう。
その他未解決な謎の一部↓
- アグネスは結局どこへ行ったのか。
- ノアがタイムマシンの椅子を作成していた目的。
- イネス(高年)が手紙を手に入れた経緯。
- エヴァ世界エゴンはなぜエヴァ世界ハンナを助けたのか。
- マグナス&フランツェスカがアダムに従っていた理由。等
個人的な総評
いくつか未解決な箇所について触れましたが、全てをクリアにしなかったのは意図的な部分もありそう。シリーズが終わった後もファン同士で議論/考察をして欲しいというね。
クラウゼンが誰から手紙を受け取ったかなんて全く触れられませんでしたから。(恐らくエヴァでしょうけど…)
ただやはり怒涛に押し寄せてくる情報量の多さからも全てを理解できず、初見時はS1&S2ほど楽しめなかったという人も少なからずいると思う。
実際に私も視聴終了時は驚き/満足というより「なんでそうなるの?」という疑問が湧いて混乱し、ファンの情報/解説を聞いて「そういうことだったのか!」と改めて真価が分かったシーンもありましたし。
そんな混乱状態の方のためにはこれ↓
下記の公式サイトは(英語版しかありませんが)有益な情報が盛りだくさんなので一度チェックしてみると良いかも。今までこんなクオリティのサイト見たこと無いというレベルで作り込まれています(笑)
未解決なことはいくつか残っているにしろ、ここまで綺麗にまとめたのは素晴らしいの一言。
だって頭がパンクしそうなくらい難解なタイムトラベル主軸のドラマにも関わらず、ここまでプロットホールも少なく、ほとんどの人が満足できる物語を生み出すなんぞそう簡単な話ではないもの。
ダークから学ぶべき教訓「筋の通る物語を作るなら、オチまでの脚本をシーズン1を撮影する前に完成させるべし!」
また謎が判明したりした場合には新しく記事にしますが、一先ずダーク関連の記事はこれが最後。こうしてまた一つ生き甲斐が無くなってしまったのは悲しいが、非英語言語の作品がここまで世界中で愛されているのを見るのは嬉しいですね。
これほど複雑で綺麗にまとめられた作品なんてこの先現れるのか…?