備忘録

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椅子型タイムマシンの存在意義 【ダーク/Dark on Netflix シーズン1&2&3 考察】

 

 

最終シーズン配信からもう2ヶ月以上が経ってしまったので今更!?とツッコまれそうですが、今回はドラマ内で最後まで明確にされなかった謎の1つでもある「ノアが椅子型タイムマシンを製作していた理由」についての記事になります。

 

これに関しても前回の記事で取り上げたタンハウス製タイムマシン同様に、海外ファンの間で議論になっておりまして…なんだかんだ椅子型タイムマシンの方が不明な点が多い気がする(笑)

作中では詳細に解説してくれなかったので、色んな憶測が飛び交っている状況。

当記事ではその中でも私が個人的に一番「あり得るかも」と感じたとあるファンの見解を基に、自分の考察も混ぜつつ紐解いていきたいと思います。

 

参照↓

www.reddit.com

 

この先最終シーズンまでのネタバレを含むので、未視聴の方は注意。

 

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Wikiより

 

 

結論

 

英文エッセイでの鉄の掟に倣っていきなり結論から入ります。

椅子型タイムマシンを製作しなければならなかった理由は大きく分けて2つ。

 

①椅子型タイムマシンはタイムトラベル手段における技術発展の一部で、最終的に33年周期縛りを無視できる装置(神の粒子)を作るため。

②ある特定の人物の存在を消さないため。

 

詳しいことは下記で説明していきますが、取り敢えず、"椅子型タイムマシンは"その他タイムマシン&キャラクターの存在に直結する関係性がある"ということだけ主張しておきます。

図などを用いず文章のみでの説明はなかなか骨の折れる作業なのですが…頑張ってまとめました(汗)

 

理由①

 

椅子型タイムマシンとその他のタイムトラベル手段の関係性 

 

まずはダークに於けるタイムトラベル手段の関係性を語る上で最も重要だと言っても過言ではないことを紹介。

↑の見解を投稿した方の言葉をそのまま拝借しますと、

All 4 devices. Chair - Suitcase - 2x God Particles, are all dependent on each other, and necessary for each other, to exist.

=4つの装置(椅子、タンハウス製タイムマシン、2つの神の粒子)はそれぞれに依存しており、1つの装置が存在するには他装置の存在も必要不可欠。

つまりですよ、どの装置も互いの誕生に影響し合っており、1つ欠けても駄目で、4つ揃って初めてあの世界に存在できている…ということです。

「Dependent on each other」っていう表現、センスあるなぁと感心。

椅子型タイムマシンを製作しないと、特定のキャラクターは存在自体が消えてしまうのはもちろん、それと同時に椅子型タイムマシン以外のタイムトラベル手段(神の粒子やタンハウス製タイムマシン)も生まれなかったっぽいんですよね。

 

タイムトラベルの技術発展とは

 

各タイムマシンは切っても切り離せない関係で結ばれていると申しましたが、それには"タイムトラベルの技術発展"とやらが絡んでいるからです。

そして、その技術発展は最終的な目標「33年周期の破壊が可能な神の粒子の製作」に欠かせない過程になります。

 

次に紹介する2つのセリフは"タイムトラベルの技術発展"に関する極めて重要な情報なのですが、作中だと聞き流すレベルで唐突だったので、改めて取り上げますね。

まずはS2E5でアダムがシーク・ムンドゥス拠点にある神の粒子の前で若き自分(ヨナス)に言ったセリフ

It is the end of a technological evolution.=(シーク・ムンドゥス拠点にある神の粒子こそが)技術発展の終わりだ。

字幕では"技術革命"と訳されていますが、evolutionはこの場合"発展/進化"と訳すほうが適切でしょう。

 

そしてもう一つ、S1E10にて貯蔵庫内でのヨナス(中年)が放ったセリフ

 The first time machine is a bunker with four walls.=最初のタイムマシンは4つの壁に囲まれた貯蔵庫だった(要するに椅子型タイムマシン)。 

上記2つのセリフは椅子型タイムマシンを製造する意味の核心を突いており、これらから汲み取れるのは、椅子型タイムマシンは初代タイムマシンで、シーク・ムンドゥス拠点にある神の粒子が最終形であるということ。

 

時間軸的に「え?1986年の椅子型タイムマシン製作時点では既に1921年の神の粒子やタンハウス製タイムマシンとかあったんじゃないの?」と混乱するかと思います。

ただ、よくよく考えてみると、椅子型タイムマシンやタンハウス製タイムマシン、神の粒子も全て参考にする設計図が無いと実現不可能ですよね。

シーク・ムンドゥスにあるタンハウス製タイムマシン、椅子、神の粒子の設計図は長年のタイムトラベルに関する経験を基にヨナス(中年)/アダムによって1888年1920年の間に生み出されたものです。

 

2020年、終末のエネルギーの影響もあり、132年前の1888年にまで吹っ飛んでしまったヨナス(中年)。彼はそこから黙々と未来へ帰る手段を模索し始めました。

手元に残った燃料切れのタンハウス製タイムマシンを照らし合わせるなどし、数十年の月日をかけて設計図作り上げます。

要するに、リバースエンジニアリングが行われているのです。

 

そしてですよ、ヨナス(少年)が終末後にクラウディア(中年)、ノア(少年)と一緒に発電所にある神の粒子の安定化をする過程も、ヨナス(中年)がタンハウスの元で時間について話し合ったのも彼(ヨナス/アダム)がタイムトラベルを理解する上でかなり重要だったということになります。

これらの経験が1888年からスタートする33年周期を破壊するタイムマシン製作に活きるわけですから。

 

シーズン1の椅子型タイムマシンは実験段階の手探り状態だったから子供達が転送中に亡くなる事故が起きていたわけで、これも椅子型が最初のタイムマシンだったという証拠の1つになりますね。

 

ここからはちょっと余談になりますが、私の個人的な推測だと、恐らくシーズン1時点ではシーク・ムンドゥス拠点の神の粒子もまだ稼働していなかったのでしょう。作中にお披露目されたのはS2E5と随分後ですから。

ヘルゲ(少年)は1986年11月に1953年から1986年の貯蔵庫に強制送還され、1954年6月に送り返されます。この約半年の間に椅子型タイムマシンは改良されて実験は成功するので、同じ期間中にシーク・ムンドゥス拠点の神の粒子も完成したんだと思う。

物体を転送するという機構はどの装置にも共通してあるので、初期の椅子型タイムマシンの失敗も4つの設計図に多大な貢献をしているのでしょう。

改良された椅子型タイムマシンの初成功例はヘルゲ(少年)でしたが、シーク・ムンドゥス拠点の神の粒子を最初に使用したのはS2E5でのヨナス(少年)だったのかもね…。

 

長文になってしまったので余計混乱させてしまったかもしれませんが、4つのタイムトラベル手段は依存関係という点さえ抑えておけば取り敢えず問題ない。

こうして列挙してみると、全タイムトラベル手段が互いに影響し合っているということが顕著に表れているのではないでしょうか。

完成形を分解して構造を参考にするリバースエンジニアリングや、上記で挙げた経験などがタイムマシンの技術発展にあたるのです。

なので、椅子型タイムマシン製作は全タイムマシンの基礎&起点の製作とも言えます。技術発展の過程においての1ステップですから。

そして、シーク・ムンドゥス拠点にある神の粒子こそがタイムトラベル技術の集大成。

 

 

理由②

 

椅子型タイムマシンが無いと消えてしまう人物

 

これは説明不要な気がしますが…。

そのキャラクターの人生が椅子型タイムマシンの介入に影響されている場合、椅子型タイムマシンが無くなる=存在が消える、若しくは今とは全く異なった人生を歩むことになるということになります。

該当するキャラクターとしては、ヘルゲ、ヨナス(アダム)、ノアあたり。

椅子型タイムマシンが無いとアダムになる過程が消えてしまう(彼は幼い頃に椅子によって2052年に飛ばされているので)、それも彼が椅子型タイムマシンの製作を命じた理由/動機の一つ。

 

誘拐された子供たちに関しては、彼らは実験台だったと結論づいていると思うので、改めて蒸し返す必要もありませんね。

ただ、1つ面白い意見として散見されたのは、ヤシンを誘拐した理由、それは彼とエリザベートが良い雰囲気になっていたからでは?というのがありました。

もし誘拐しなかったらノア&エリザベートカップルは生まれなかったかもしれないと…(笑)

 

 

ノアの動機

 

最後に、なんでノア(中年)が椅子型タイムマシンを製作していたの?動機は?という素朴な疑問にも触れておきましょうか。

1つ念頭に置いといて欲しいのは、椅子型タイムマシンの製作を命じたのはアダム。これ大事ね。

ノア(中年)はそんなアダムの命令に従って椅子型タイムマシンの製作に取り掛かり始めました。彼の動機としては娘(シャルロッテ)と再会すること。

 

椅子型タイムマシン製作がシャルロッテ再会には全く繋がらないんですが、アダムは「自分に従っとけばいずれ再会できるよ」と嘘をつき、ノアを操っていたわけです。

これはS3E7でちゃんと描写がありましたよね。シャルロッテを奪ったのはクラウディアではなくアダムでしたから。

 

なのでノア(中年)は製作中ず~~~っと「俺なんでこんなことしてんだ、本当にこんなんで娘と会えるのか?」と疑問に思っていたことでしょう(笑)

序盤は誰もが「ノア=悪者」という印象を抱いていたと思いますが、終わってみれば不憫なキャラクターだったことが判明したのです…素晴らしいキャラクターアークですよね。GoTでいうジェイミーのような立場。

 

まとめ

 

あくまでもセオリーですので100%の信頼性は保証できませんが、方向性は間違っていないでしょう。「シリーズ最後まで説明が無かった」ということを逆に捉えると「もうドラマ内で既に提示されていた」っていうパターンかもしれないし)

 

取り敢えず、この記事を執筆中にも新たな面白いセオリー(ヨナスが神の粒子in シーク・ムンドゥス拠点の第一実験台かも)が頭を過るといった収穫があったので良かった(笑)