備忘録

主に映画やドラマの感想など。

シーズン7に対する指摘 【ゲーム・オブ・スローンズ】

 

今回はいつもと少し違った内容になります。

 

いきなりだが、ゲーム・オブ・スローンズ(以下GoT)のシーズン7は他のシーズンと比べるとネガティブな評価が多い(日本国内での評価は知らないが)  その内99.9%が脚本に対して。

 

ただ、IMDBにおいてS7の平均星評価は相変わらず高く、この辺の関係性は謎だが、今まで以上に細かい指摘をする人が増えたなとは感じる。

まぁS7全体の視聴者数が桁違いだったというのも多少は影響していると思いますけど。

 

中には納得するものから、それってどうなの?と感じる意見もありますが、良いか悪いかは別として、S7は今までとはなんか違うという印象があったのは確かですね。

しかし、騒がれていることを照らし合わせてみたら、S7そこまで悪くない説というのが私の中で浮上してきたので改めて一つ一つまとめたいと思います。

ネタバレ注意。

 

 

 

 

進行度の速さ


 

まずはこのシーズンで1番指摘されている点から。

 

こういうフィクション作品(しかも一応ジャンルはファンタジー)で移動距離とそれにかかる時間に対してあーだこーだ言うのは馬鹿げていると思う。

しかしですよ、ウェスタロスが南アメリカ大陸並の広さがあることを考慮すると、キャラクターの移動速度が気になるのも無理ない。

「え、あんたさっきあそこにいたやん」っていうのが何度かあったし(笑)

 

とはいってもクライマックスに向かって物語が収束しある程度加速するのは成り行き上自然な気もするからその辺は大目に見るべきなのかもしれないですが。

 

 

ティリオンの王都を包囲する計画


 

これはあまり指摘されていませんが、一応。

 

ドラゴンを使って町を焼き払うのではなく、王都を包囲し降伏するのを待つという作戦ですが、これに関しては普通に理にかなった戦略だったと思います。

まず前提として、ヴァリスとティリオンが最も恐れていることはデナーリスが父親(狂王)のようになってしまうこと。

狡猾さと残忍さで名を轟かしているラニスター家、その一方でターガリエン家は昔からクレイジーで有名なんでね(笑)

 

余談:ターガリエン家には、「鬼火を飲めばドラゴンになると信じ、試しに飲んで亡くなった人」や、「レッドキープ(王都の城)の設計に携わった関係者を、"城の構造が外部に漏れないように"と全員殺害した人」などがいたりとクレイジー度で右に出る家系は他にない(笑)

 

このシリーズでは度々その狂王のクレイジーっぷりについて語られてきました。 

デナーリスがこの世界を良くするかもという可能性を信じて遥々エソッスまで渡り仕えることになった2人にとってその状況はなんとしてでも防がないといけない、それ故の作戦だったんでしょう。

 

ただ、ターリー家2人の火炙りや、ジョン達を助けに行ったりともう歯止めがきかなくなってきているけど。

 

S7E7でのやり取り

ティリオン: デナーリスは世界を変えてくれる。

サーセイ: 彼女は町を破壊しようとしていたんでしょ?

ティリオン: 彼女は己を知っている。だから衝動的な行動を抑えてくれる人を相談役に選んだ(抑えられるとは言っていない)

 

サーセイもその辺馬鹿ではないので痛いところついてくる(笑)

 

 

ティリオンの亡者を一体連れてくる計画


 

物語の進行度並に賛否両論だったこの計画。

もちろんデナーリスファンで夜の王=敵としか見ていない方からしたら、ドラゴン1匹失った喪失感で「亡者を連れてくるなんて馬鹿げている!」と言いたくなる気持ちもわかりますが…(笑)

 

いきなり結論にぶっ飛ぶと、律儀にデナーリスが来るまで待機していたのは未来が見える夜の王がドラゴンを得るための作戦だった!ならある程度納得できるんですよ。

だとしたらS7E6でのタイミングが良すぎる一連の展開も辻褄が合う気がするし。

(私は寧ろあの場面ではベンジェンの死のほうが無理矢理感あった気がします(笑)

つまり、ジョンを湖の底に落とす必要は無かったのではないか?と。)

 

しかしね、ここでの論争の火種はやはりジョン達が壁の向こうへ出向く理由として「サーセイを信じ込ませるため亡者を連れてくる」だと少し強引ではないかという点じゃないかと思うんですよ。

 

一方でベリック、ソロス、ハウンドの3人が壁の向こうに行くことになった理由は火を通したビジョンを見ての使命感から。

そのビジョンは光の王からのお達しですが、光の王が夜の王の目標に近づくよう仕向けている素振りから「光の王=夜の王?」というセオリーが前からありまして…。

まぁ長くなるので詳細は割愛しますが、シーズン7の展開を照らし合わせるかぎり、このセオリーも現実味を帯びてきた感じがしますね。

 

さて話をティリオンに戻すと…

あのサーセイに休戦を求める/説得するためだけに、ジョン達をリスクにさらすことを躊躇わなかったっていうのは心の奥底ではまだラニスター家としての自覚があり、自分の家を破滅させたくないという心理状態を描写するという意図なのか?

それとも単純にティリオンは死の軍団を見くびっていたという意図なのかどっちなんでしょう。

しかし、彼はジョン達を助けに行こうとしたデナーリスに「行ってはダメだ」と言いました。このジョン達を見捨てるような彼の態度から推測すると、前者の可能性も十分あるよなぁ。

 

そんなわけで色々と謎が多いティリオンの計画でした。

 

サンサ&アリア&リトルフィンガー


 

スターク姉弟の再会は誰もが待ち望んでいたため、いくらリトルフィンガーを陥れようとする魂胆でも、姉妹間の緊張が張り詰めっぱなしなのは心臓に悪いね。

何をやっているのか分からない人もいたのではないだろうか。

 

それと、リトルフィンガーの末路。

多くのファンが彼の末路に満足している中、もちろん納得言っていない人もいるわけで。 今まで散々世界を翻弄してきた彼にしては呆気ない感じがありますからね。

ただ、リトルフィンガーの死に関してはあるセオリーが存在しており、今のところ何とも言えない。

 

関連記事:

rayford.hatenablog.com

 

とはいっても、残りの尺的にリトルフィンガーの出番はあれで終わりの可能性が大きいですが。

もしあれで終了なら自分もこのウィンターフェルでのストーリーラインには満足出来ないかなー。。。

 

ジョンとデナーリスの関係


 

この展開も喜んでいる人から、別に見たくないっていう人とで意見が分かれていますが、私からしたら「どう見てもロブとタリサの流れでしょこれ」の一言(笑)

あげといてどん底に突き落とすのはGRRM(原作者)が得意な手法なので。

 

まとめ 


 

それにしてもこのシリーズほど細かい指摘をされる作品無いよねとつくづく痛感(笑)

これほどハードルが上がっているのはやはり制作側もそういう細かい箇所に気配りし続けてきたからなのか。だから少しでもずれたことすると指摘されるという。

 

でもこうして考えてみると、S7は最終章に向けた足掛かりということで注意深く見ていないと気づかないような要素がたくさんあった気がします。

なのでそういう細かい要素を考慮した上でレビューしないと何も分かっていないのに文句だけは一丁前の人になってしまうので危険。 

 

特にS7はデナーリスの衝動的な行動やそれに対する皆の危惧に然り、リトルフィンガーや夜の王のストーリーラインとかも伏線の可能性があるので、まだ欠陥だとは断定するのは早とちりだと思います。

 

まぁD&Dはこのシリーズのオチを事前に原作者から直接聞いているみたいなので、少なくともS7の展開はそのオチに向かって描いた結果なんでしょう。

ちょっとキツめに言ってしまえばドラマの脚本面ではS5の方が遥かに劣っていると思います。S5の脚本は明らかにD&Dがやらかしたんで(汗)

 

でもよく考えてみれば、S6最終話で圧倒的にデナーリス軍優勢に見えたのにS7序盤で一気に形勢逆転された感、キャラクター移動するの早すぎ感、リトルフィンガーあっさり退場した感、ジョンとデナーリスの距離急に縮まりすぎ感、これらの出来過ぎ感は全て進行度を早めたことによる弊害ですよね。

だってサムに関してはS6丸々オールドタウンへの珍道中だけで終わったにも関わらず、S7ではシタデルで夜の王/ホワイトウォーカーに関する重要な情報を探して、ジョラーのグレースケールを治療し、リアナとレイガーの秘密を見つけ、ウィンターフェルにまで戻ってブランに伝えるってのをたった7話に詰め込んでるんですから(笑)

 

てなわけで個人的なシーズン7に対する意見としては、脚本としては言うほど悪くないと思うが進行度を早めたのが大失敗だった、この一言に尽きますかね。