ジョン・アリンの死【ゲーム・オブ・スローンズ】
キャトリン・スタークの妹ライサの妻であるジョン・アリン。
ドラマではシーズン1、1話に一瞬「遺体」として映っただけですが、彼の死はこの物語が動き出す要因とも言えます。
そしてシーズン4で明かされた真相。
しかし、不可解な点が全て解決したわけではありませんでした。特に序盤(S1)の王都での展開(ジョン・アリンの元従士サー・ヒューとか)は何だったの?と疑問に思っていたわけです。
そこでいろいろ調べてみると、主犯格は予防線を張り巡らせるようにかなり緻密な事前工作を行っていたようなんですよね~。
そういうこともあり、一体誰が絡んでいたのか、誰が無実だったのか全貌が掴みづらいんですよ。
なので、今回はその辺を紐解いていきたいと思います。
この先重大なネタバレがあるので未視聴の方注意。
そもそもジョン・アリンってどんな人?
本題に入る前に、軽くジョン・アリンのバックグラウンドや死の直前の行動を整理。
ジョン・アリンは東部総督、王の手。
ネッドとロバートが仲良いのは里子としてジョン・アリンの元、アイリー(高巣城)で一緒に育てられたから。
ちょうどブランがS6E5で見たのはネッドが里子としてアイリーに旅立つ直前のシーンですね。ネッドは原作だと8歳だったという設定。(ドラマと原作では年齢設定にばらつきがあるので多少ズレが生じますが)
そしてその後にロバートの反乱が起こります。
狂王はアイリーにいたネッドとロバートを王都に召喚するよう要求。
ただ、これをジョン・アリンが断り反乱が勃発しました。厳密には「ジョン・アリンの反乱」ですね(笑)
で、なんやかんやあって(省略)ロバートが王になり、親しかったジョン・アリンを"王の手"に任命。
しかし、王の仕事のほとんどはジョン・アリンが処理していました。 ロバートは金を消費しまくったり好き勝手遊んで困らせていただけ。
そしてある時、スタニスが「ジョフリー達はロバートとサーセイの子供ではない」と疑い始め、それをジョン・アリンに伝えました。
そう、ドラマでは触れられていませんが、最初に発見したのはスタニスなんですよね。
(スタニスが兄のロバートではなくジョン・アリンに伝えた理由は、仲悪いロバートに言っても信じてもらえないと思ったから。ジョン・アリン経由なら信じるかもしれないという算段)
スタニスとジョン・アリンの2人はその真相を確かめるためにロバートの落とし子を訪れたりして調査をしていたが、その最中ジョン・アリンは死を遂げたわけです。
死の真相
長くなりましたが、早速本題へ。
結論から言うと、ジョン・アリンは自然死ではなく毒殺。
首謀者:リトルフィンガー、実行犯:ライサ・アリンでした。これはシーズン4で明かされましたね。
ただ問題はここから。リトルフィンガーはどんな裏工作をしたのか。
一連の流れを分かりやすくまとめてくれた方がいらしたので、それをお借りして進めていきたいと思います。
箇条書きになってしまい分かりづらくなりますが、↓の図と照らし合わせてご覧ください。(一応、この図には載っていない情報も追加してます)
★パイセル、ネッド、キャトリンの推測
サーセイ:
①サー・ヒュー(ジョンの従士)にジョン・アリンを毒殺するよう命令、褒美として彼に金銭を与えた。
②証拠隠滅のためマウンテンを利用し、馬上槍試合でサー・ヒューを事故死に見せかけて殺害。
サー・ヒュー:
サーセイの命令でジョン・アリンを毒殺。貰った金銭で鎧を購入。
マウンテン:
証拠隠滅のため馬上槍試合でサー・ヒューを事故死に見せかけて殺害。
ネッドとキャトリンはライサからの「犯人はラニスターだ」という手紙を信じてラニスター家が犯人だと推測。
そしてパイセルもサーセイが毒殺したと勝手に思い込み、助からないよう死なせた。
パイセルはラニスター家に従順なのでサーセイが毒殺したという事を隠蔽しようとしたんですね。
★リトルフィンガーの裏工作
リトルフィンガー:
①ジョン・アリンがジョフリーは落とし子だという事実を掴んだことを知る。故に、ジョン・アリンが死ねばジョフリーの事実が漏れないようにラニスターの手によって殺されたのでは?という疑惑が高まるだろうと読んだ。
②ライサにジョン・アリンを殺すよう指示。そして犯人はラニスターだという手紙をキャトリン宛に書かせた。
③サー・ヒューに疑いがかかるよう金銭を渡した。サー・ヒューを雇ったのはどこかの金持ちだと思わせるため。(金持ち=ラニスター)
④ネッドを仕向けるためにサー・ヒューの印象操作。彼が怪しいことをネッドに伝える。
⑤ただここで問題発生。ネッドがまさかのサー・ヒューを尋問すると言い出す。すかさずリトルフィンガーはネッド本人が直接行くのは得策ではないといい、代わりに代理を送るべきだと主張。更にその間に武具師(ジェンドリー)がいる家へ行くよう指示。
⑥馬上槍試合でマウンテンVSサー・ヒューがあたるよう組分けを操作?(マウンテンはラニスター家に仕えているので、彼がサー・ヒューを殺せば更にラニスター家への疑いが強まる)
↑の図では説明されていませんが、ネッドがサー・ヒューを尋問しようとするのは想定外だったんだと思います。
もちろんサー・ヒューは無実で何も知らないので、聞かれたら本当のこと(リトルフィンガーに~、もしくは知らない人から金を貰った的な)を言うでしょう。
そこで時間稼ぎのためにネッドではなく代理を送ることを勧め、ネッドはジェンドリーの元へ行かせた。
原作では新米騎士には特有の傲慢さがあるということが触れられていました。
(少し話が逸れますが、このシリーズでは"騎士"ということに対して不満を募らせるような描写が結構あります。サンサは王都で「周りには騎士だらけなのに誰も助けてくれない」と嘆いていますし、ハウンドが騎士を毛嫌いしているのも「騎士なんて見かけだけで非道な奴らばかりだ」という理由があるかもしれません。)
なのでリトルフィンガーはサー・ヒューの元に代理を送っても彼は相手にしないだろうと読んでいたかもしれません。
現にサー・ヒューは「俺は騎士だ、王の手以外の人物を相手する筋合いはない」とジョリーを見下して断った。
ということでネッドの尋問を回避/遅らせつつ、時間稼ぎ成功。このすきに組分け操作したのでしょう。
しかし、馬上槍試合での一件に関しては明確な答えがありません。
マウンテンはリトルフィンガーの家来でもないので、尋問させなくするために彼の命令でサー・ヒューを殺したとは考えづらいんですよね。
サーセイを含めラニスター家はこの策略に関わっていない、むしろ利用される立場。
ラニスター側の人間を使うにはリスクがあるので、マウンテンとリトルフィンガーの2人が直接繋がっている可能性は限りなく低い。
ただ、繋がっていないにしろ、マウンテンとサー・ヒューの組分けを操作して対戦するように仕組む利点はまだあります。
なぜなら、最近まで従士で馬上槍試合素人のサー・ヒューと、気性の荒い怪力マウンテンが戦うとなると前者が事故で死んでもなんらおかしくないから。
そしてその結果たまたまサー・ヒューは死んだ。
彼の死はリトルフィンガーにとって願ってもない展開だったんだと思います。
さっきも言ったように、マウンテンが殺したことでラニスター家への疑惑が高まる+証拠隠滅できた、一石二鳥だったわけです。
あの馬上槍試合でサー・ヒューが生き延びていたら、リトルフィンガーは別の計画を考えて殺したかもしれないですし。
なので、「組分けを操作したかもしれないが、殺せとまで命令はしていない」、こう考えるのが一番妥当な気がする。
ライサ・アリンがこの策謀に加担した理由
見ての通り、ライサ・アリンは常人ではないので愛しているリトルフィンガーの頼みと言われたら断るはずがありません。
そもそも、ジョン・アリンとライサの結婚も半ば強引の政略結婚だったので、この2人の間に愛なんてものは存在していませんでした。
更にジョン・アリンは息子のロビンをドラゴンストーン城のスタニスの元に里子として預けようとしていたんですよね。
考えられる理由はいくつかあり、
- あの母親(ライサ)の元にいたら悪影響だと思ったから。
- ジョン・アリンは詮索しているときから身の危険を感じていた。自分が死んだ場合、ロビンがアリン家の後継者。来る戦争で谷間の兵の支援をスタニスが受けれるようロビンをドラゴンストーン城へ送りスタニス側をサポートするつもりだった。(スタニスが正統な王なので)
- とりあえずラニスターがいる王都は危険だと判断し、ドラゴンストーン城に送ろうとした。
逆にロバートはロビンをタイウィンの元に里子として出したがっていたという。 ジョン・アリンとロバートの2人はそれほどロビンがライサの元で育つことがどんなにヤバイか恐れていたんですね(笑)
どの動機が正しいとは言え、ロビンを母親(ライサ)の元から離そうとしていた点に関しては事実です。
ライサのジョン・アリン殺害動機は息子のロビンと離れ離れになりたくなかったから、というのも大きいと思います。
おわり
私はリトルフィンガーとライサ以外に、何らかの形でサー・ヒューも事件に関与していると思っていました。少なくともそうかと思わせるような描写があったので…。
しかし、どうやら私もリトルフィンガーの手のひらの上でまんまと踊らされていたようだ(笑)
サー・ヒューはただのおとりだったと。
リトルフィンガーはラニスター家を首謀者、サー・ヒューを実行犯に仕立て上げるために↑のようなことをしていたんですね。
でもさすがにここまで緻密な裏工作をしていたなんて思っても見なかった。
サーセイやサー・ヒューにとってはとんだ冤罪だったという(笑)
それにしてもこの計画、完全犯罪過ぎるよね。
しかもそれをあえて大っぴらに明かさず仄めかす程度で、真相はじっくり考えてね!と投げかけている感じが良い。
兎にも角にも、このプロットを考えた原作者ジョージ・R・R・マーティンには頭が上がらないですよ。